何寿川総裁からのご挨拶

卓越、そして輝かしい栄光へ

永豊餘は、創業から90年以上、経験が豊富で、努力を積み重ね、果敢さと識見を兼ね備えた草分け的存在です。ホールディングス体制に移行してからも、ますます柔軟に活用し、資源を統合することで、たくましいパイオニア、そして未来への溢れんばかりの熱意をもった戦略家になると信じています。

製紙メーカーとして創業した永豊餘の社名に「製紙(造紙)」の二文字がなくなった時、私としては複雑な心境でした。原点を大切にしている私にとって、「製紙(造紙)」の二文字は、当社の成長を築き上げてきた仲間たちと同様に価値あるものでした。従業員の努力の甲斐があって、永豊餘を一日一日と進歩させてきたのです。一方、今後のビジョンに向けた転換をする永豊餘は製紙・科学技術・金融・バイオテクノロジー・社会貢献や教育といった、さらに多くの分野に参入し、時代とともに歩んでいます。開業100年目に向けた第一歩として、ホールディング体制は時代の変化に対応するだけではなく、未来へ向け継続的かつ発展的に取り組んでまいります。

ここ10年における環境の変化のスピードはかつてないほどのめまぐるしさです。永豊餘もまた、この10年で最も変化が速く、大きく変わったと言うことができます。そして、私たちはかつて最も得意としていた製品を減らすよう迫られています。さらにすばやいマーケットへの対応力が求められています。もちろん、長年努力してきたものを変えることは容易ではありません。しかし経験と土台があれば、プラスへと変化させることは可能であり、私たちはそれを証明しているのです。

かつて久堂工場にて、定年間近の職員が私とともに工場へ赴きました。そこで私はもともと伝統的な文紙を生産していた機械が、現在では付加価値のある特殊紙を製造しているのを目にしたのです。それは、他の同業者と差をつけたことを意味します。このことに私たちは感動し、そして誇りに思っています。

2005年に工業用紙事業を分割し、2009年に捷比達Jupiterと併合し、独自のグローバル化の道を歩み始めました。2007年には永豊餘消費品実業公司を設立し、家庭用品以外にも、清掃用品や化粧品といった製品を作り出し、マルチブランドやマルチチャネルの発展モデルを歩んでいます。2012年は紙と紙板事業において、中華パルプ(中華紙漿)と合併することで、今後はより一層紙パルプにおける一貫した新しい力と価値を発展していくことを期待しています。

各事業が独立し専門性を持つ事で、それぞれの道を極め、産業界でかけがえのない存在になると確信しているからこそ、事業の方向転換を推進していけます。そして変動の本質を見極めることで、臨機応変に挑戦し続けることが可能なのです。永豊餘がホールディングス制度により、マネジメント戦略でトップに立つことが可能だと考えています。そして、資産効率と資産配分・外資投資の育成・提携関係の促進に重点を置き、全体像をつかんでからさらに客観的な内部監査を行うことで、投資・マネジメントの整合的なプラットフォームになると考えています。

伝統的な紙以外に、デジタル科学技術の台頭は、私たちに電子ペーパーへの進出を促しました。クラウドによって、紙という媒体にバーチャルとリアルを統合することができました。自然環境と資源の悪化に向き合うことで、当社はバイオテクノロジー・有機農業に着目し、ビジネスにおける利益を得ると同時に、資源を十分に活用して人を大切にしなければならないということを理解し、そして実行する運びとなりました。

私は時代を問わず会社の成長にとって、変わるものと変わらないものがあると考えています。ここでもう一度「外円内方(外見は温厚だが、芯がしっかりしている)」の道理についてお話しします。これはつまり、一定の決まりに従って物事を処理しなければ適切に処理できないという意味があります。価値観や方向性の転換によって変わるものがあっても、この道理は変わらないものと考えています。私はこの激動の時代において、規律を守ることを心から要求し、「有所為、有所不為(負うべき責任を果たす)」、社会に対して意義のあるサービスを作り出し、そして会社が最も大切にしている文化的資産を築き続けることを切に求めます。

ホールディングス会社として正式にスタートした永豊餘も、歴史の流れの絶え間ない変化に伴い、時代に合わせて変化していかなければなりません。現在、すでに株式上場が可能な各事業は永豊餘の誠実な文化的基礎により、それぞれが踏み出す一歩一歩はとても素晴らしく、期待できるものになると思っています。変化とは、自分を超え続け、常に新しいものを作り、継承し、そして次の輝かしい100年へと繋げていくことです。